①「根気良く」
唐紙作りは早朝からの「布海苔炊き」から始まります。 一晩、水に浸し軟らかくしたふのりを焦がさない様、火加減しながら混ぜ続けます。
②「ハチミツ状に」
昼過ぎにようやく「裏漉し」します。時間をかけて炊き上げた「布海苔」は、ハチミツの様になめらかで、少しずつ糸を引きながら漉されていきます。
③「経験と勘」
布海苔を乳鉢で雲母、顔料と合わせ絵具にします。その日の天候と作業を考えると手が動きサジ加減が決まります。
④「気温と湿度」
絵具を刷毛で篩(フルイ)に移します。この時、のり盆で絵具に水を加えながら、作業を進めます。
毎回、紙に吸われた水分と蒸発した水分を減った分だけ、絵具と一緒に補って版木の状態を一定に保ちます。
季節、天候に合わせた水分量とのり加減がポイントです。
⑤「先人の知恵」
深彫りされた木肌に絵具を馴染ませます。絵具が均一に乗る様、篩を何度も動かします。
篩は丸く湾曲させた薄板にガーゼを張った簡単な道具ですが、昔から唐紙作りに欠かせません。
⑥「紙質と柄」
唐紙文様は、多岐に渡り繊細な柄も、大胆な大柄も有ります。和紙も素直なものばかりでは有りません。
水を吸って伸縮の激しい紙や、ドーサを引かないと柄が摺れない紙もあります。
柄と紙の相性に応じた作業は大変難しく、試行錯誤しながら覚えて行きます。
⑦「手で優しく」
版木寸法に合わせ見当を打った和紙を、手で優しく撫で伏せ柄を移します。
唐紙は基本同じ柄を2度摺りします。
1回目で下地を付け、2回目はより優しく撫でる事で独特の風合有る文様が生まれます。
⑧「手際良く」
唐紙文様は、天地左右に柄がつながるようにデザインされています。
1枚の襖を作るのに紙を送り、版木を左右に動かして24回もの摺り作業を繰り返します。
大変手間がかかりますので、手際の良さと持続力が求められます。